
歯科コラム
3歳になっても噛まないのはなぜ?丸飲みの理由と家庭でできる3つの工夫

初めに
「3歳になってもご飯を噛まない」
「子どもによく噛んでと伝えても、
丸飲みしてしまう」
そう心配している方もいるかもしれません。
噛まない・丸飲みする背景には、
食べ物の形やかたさだけでなく、
お口の機能や体の発達、
食事の姿勢や環境が関わっていることもあります。
その子の発達に合った食事を整え、
遊びを通して、
お口や体を使う経験を重ねることが大切です。
この記事では、
3歳の子どもが噛まない・丸飲みする3つの理由と、
発達を支える家庭での3つの工夫、
歯科医院へ相談する目安を紹介します。
目次
3歳になっても噛まない・丸飲みする3つの理由
理由① 食べ物の形やかたさが噛む力に合っていない
3歳の子どもが噛まない理由の一つに、
食べ物の形やかたさと、
噛む力が合っていないことが考えられます。
細かくやわらかいものは、
十分に噛まなくても飲み込めます。
反対に、かたすぎるものは噛みつぶせず、
丸飲みしようとすることもあるでしょう。
例えば、
食材の切り方や選び方が、
子どもの噛みやすさに影響することもあります。
・野菜をすべて小さく切っている:
前歯でかじり取ったり、
噛みつぶしたりする機会が少なくなる
・繊維の多い肉や野菜をそのまま出している:
うまく噛みつぶせず、
口に残したり出したりすることもある
噛まないときは、
年齢だけで食事を決めず、
実際の食べ方を見ながら、
その子の噛む力に合った形やかたさかを
確認することも大切です。
理由② お口の機能や体の発達が、噛む動きを支えきれていない
3歳の子どもが噛まない背景には、
お口を使う動きや姿勢を保つ力が、
十分に育っていない可能性もあります。
食べ物を噛むには、
舌で食べ物を左右の歯へ運び、
あごを動かすなど、
お口の動きを組み合わせる必要があります。
体を安定させて座ることも、
噛みやすさを支える土台です。
例えば、
次のような様子が見られることもあるでしょう。
・舌で食べ物を左右へ運ぶ動きが十分でない:
奥歯で噛みつぶしにくく、
口の前のほうに食べ物が残る場合がある
・姿勢を保つ力が十分でない:
食事中に体が傾いたり、
椅子の背もたれにもたれ続けたりする場合がある
噛まない理由を食べ物だけに求めず、
お口の動きや体の発達にも目を向け、
その子に合った支援を考えることが大切です。
理由③ 落ち着いて食事ができる環境になっていない
3歳の子どもが噛まない・丸飲みするときは、
食事の環境や座る姿勢も確認することが大切です。
食事を急かされたり、
体が安定していなかったりすると、
落ち着いて噛みにくくなる場合があります。
噛む力があっても、
十分に発揮できないこともあるでしょう。
例えば、次のような場面です。
・「早く食べて」と繰り返し言われる:
急いで飲み込もうとして、
噛む回数が少なくなる場合がある
・テレビやおもちゃに気を取られている:
食べることに集中しにくくなる
・足の裏が床や足置きについていない:
体が安定しにくく、食事に集中したり、
噛む力を発揮したりしづらくなる場合がある
噛まない様子が気になったら、
声かけだけでなく、
足元を含めた姿勢や、
ゆっくり食べられる環境にも
目を向けてみてください。
子どもの噛む力の発達を支える、家庭でできる3つの工夫
工夫① かじり取りやすい形・かたさで、噛む経験を増やす
3歳の子どもが噛まないときは、
前歯でかじり取り、
噛みつぶす経験を少しずつ増やしていきましょう。
自分でかじり取ることは、
一口の量を覚え、
奥歯で噛んで食べる練習につながります。
すべてを細かく刻むのではなく、
その子が噛みつぶせるやわらかさで、
かじれる形を取り入れることがポイントです。
例えば、次のような工夫ができます。
・やわらかく煮た大根やにんじん:
持ちやすい棒状に切り、
前歯で少しずつかじる経験を増やす
・やわらかいバナナ:
小さく輪切りにせず、
手で持ってかじれる形で用意する
はじめはやわらかいもので、
噛みつぶせている様子を確認しながら、
少しずつ噛みごたえのあるものも
取り入れていきましょう。
加熱の程度を調整するなど、
その子が無理なく噛めるかたさを、
探すことがポイントです。
噛む力に合わないかたいものを急に与えると、
丸飲みやのどに詰まる危険につながるため、
無理にかたいものを食べさせないよう、
注意してください。
食べている間はそばで見守り、
その子の食べ方に合わせて、
調整することが大切です。
工夫② お口や体を使う遊びで発達を支える
噛む動きを支えるために、
食事の工夫と合わせて、
お口や体を使う遊びも取り入れてみましょう。
噛むときには、
くちびる・舌・あごの動きに加え、
姿勢を保つ力も必要です。
遊びの中でさまざまな動きを経験することは、
お口や体の発達を支える機会になります。
例えば子どもが楽しめる、
次のような遊びを試してみてください。
・にらめっこや顔まね遊び:
くちびるをすぼめたり、舌を出したりして、
お口を動かす経験を増やす
・風車を吹く遊び:
くちびるをすぼめて、息を吹く動きを楽しむ
・クマ歩きや動物ごっこ:
手足で体を支えながら動き、
姿勢を保つ力を育む
上手にできることを目標にせず、
親子で楽しむことが大切です。
その子ができる動きから始め、
無理なく遊ぶ機会を増やしていきましょう。
工夫③ 食事の姿勢を整え、家族でゆったり食べる
噛む力を発揮しやすくするために、
安定して座れる姿勢と、
急がずに食べられる環境を整えましょう。
足元や座り方が安定すると、
お口を動かしやすくなります。
家族と一緒に食べる時間は、
大人の噛む様子を見ながら、
食べ方を覚える機会にもなるでしょう。
例えば、
毎日の食事で次の点を見直してみましょう。
・足の裏が床につかない:
高さの合う足置きを使い、
足の裏全体で体を支えられるようにする
・体が後ろに倒れ、あごが上がっている:
椅子やテーブルの高さを調整し、
体を起こして食べられるようにする
・食事に集中できない:
テレビを消し、大人も一緒に座って、
子どもが噛んで飲み込むのを待つ
「よく噛んで」と繰り返すだけでなく、
大人がおいしそうに噛む姿を見せてみてください。
姿勢と食事のペースを整え、
親子で落ち着いて食べることが大切です。
子どもの噛まない・丸飲みはいつ相談したらいい?
3歳の子どもが噛まない・丸飲みすることが気になったら、
家庭での工夫と並行して歯科医院へ相談できます。
「もう少し成長してから」
と待つ必要はありません。
歯の痛みや噛み合わせ、
お口の動かし方など、
家庭では判断しにくいことが、
関わっている場合もあるためです。
例えば、
次のような様子は相談する目安になります。
・食べにくさが続いている:
食べ物を口にためる、繰り返し出す、
食事に長い時間がかかる
・噛むときに痛がる:
特定の歯を気にしたり、
片側ばかりで噛んだりする
・お口の使い方が気になる:
口が開いていることが多い、
食べこぼしが目立つ
日本小児歯科学会も、
食べ方が気になるときは、
お口の機能への働きかけを勧めています。
歯科医院で食べ方を確認し、
その子に合った工夫や支援を、
一緒に考えていきましょう。
まとめ
3歳の子どもが噛まない・丸飲みする背景には、
食べ物の形やかたさ、
お口や体の発達、
食事の環境が関わっていることがあります。
「よく噛んで」と伝えるだけでなく、
その子の食べ方に目を向けることが大切です。
かじり取りやすい食事、
お口や体を使う遊び、
安定した姿勢とゆったりした食事時間など、
できることから取り入れていきましょう。
当院では、
子どものお口の発達に詳しい
歯科医師や管理栄養士が、
歯や噛み合わせ、
毎日の食べ方を一緒に確認します。
「よく噛んでと言っても変わらない」
「どう手助けしたらいい?」
と迷ったら、お気軽にご相談ください。
お子さんに合った、
続けやすい工夫を一緒に考えていきましょう。